年末調整手続の電子化とは?いつからどう変わる?

税金
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 平成30年度税制改正により、年末調整手続の電子化が行われることとなりました。これにより、会社の事務負担が軽減され、従業員の利便性も高まるものと考えられます。この年末調整手続の電子化について解説します。

 

年末調整の電子化とは?年末調整の電子化のメリットは?

まず、これまでの年末調整の方法を見てみましょう。

従来の方法では、会社から税務署への法定調書合計表等の申告・提出はe-taxを利用することができますが、従業員から勤務先に対しては基本的に書類でのやりとりを行う必要があります。

従業員は「扶養控除等(異動)申告書」及び「保険料控除申告書」などの控除申告書と、控除証明書等を添付して、勤務先にに書面で提出しなければなりません。

勤務先では従業員から提供を受けた年末調整関係書類について、まず記入間違いが無いかどうかをチェックします。そして、給与システム等に入力して年末調整計算を行います。なお、控除申告書などの年末調整関係書類は一定期間保存しておかなければなりません。

 

 

年末調整手続が電子化されると次のように変わります。

従業員は保険会社等から控除証明書等を電子データで受領し、受領した電子データをインポートして、控除申告書の電子データを作成します。従業員は国税庁が提供する「年末調整控除申告書等作成用ソフトウェア」など(年調ソフト)を使って控除申告書データを作成することができます。

その電子データを勤務先に提供し、勤務先が提供された電子データを給与システム等にインポートすれば年末調整計算が完了することとなります。従業員は電子データをインポートして控除申告書を作成するので、申告書の作成間違いも起こらなくなり、勤務先は検算・チェックを行う必要がなくなります。

具体的には、次の年末調整関係書類について電子データでの提供を受けることができます。

〔年末調整申告書関係〕

① 扶養控除等申告書
② 配偶者控除等申告書
③ 保険料控除申告書
④ 住宅ローン控除申告書
⑤ 基礎控除申告書
⑥ 所得金額調整控除申告書

〔控除証明書等関係〕

⑦ 保険料控除証明書
⑧ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書
⑨ 年末残高等証明書

 

このように年末調整手続が電子化されると、勤務先と従業員の双方にとって事務負担の大幅な軽減を図ることができるようになります。

なお、年末調整手続の電子化をするかどうかは任意ですので、従来どおり書面で提出する方法でも問題ありません。

 

 

 

年末調整手続の電子化に向けた準備

年末調整手続の電子化を行うためには勤務先と従業員のそれぞれで準備が必要となります。

勤務先で準備すること

1.実施方法を検討する

年末調整手続の電子化には次の4つのパターンが考えられます。どのパターンを採用するかやそれに対応した給与システム等の選定などの検討を行う必要があります。

パターンA:従業員が控除証明書をハガキ等で取得し、年調ソフトで作成した控除申告書を印刷して提出する方法

パターンB:従業員が控除証明書をデータで取得し、年調ソフトで作成した控除申告書を印刷して提出する方法

パターンC:従業員が控除証明書をハガキ等で取得し、年調ソフトで作成した控除申告書データを提出する方法

パターンD:従業員が控除証明書をデータで取得し、年調ソフトで作成した控除申告書データを提出する方法

 

なお、それぞれのパターンのメリット・デメリットは次のとおりです。

(国税庁「年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するFAQ」より引用)

 

2.従業員に周知する

従業員に年末調整手続の方法や事務手順、使用するソフトウェアなどを周知して、事前準備をしてもらう必要があります。

 

3.給与システム等を改修する

1で選択した年末調整手続の電子化の方法に対応するように給与システム等の改修等が必要となることがあります。

 

4.税務署へ届出をする

年末調整手続の電子化を図り、従業員から年末調整申告書を電子データで提供を受けるためには、「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を税務署に提出し、承認を受ける必要があります。

承認を受けるためには、次の二つの措置を講じておかなければなりません。

年末調整の電子化に必要な措置

① 電磁的方法による提供を受けるために必要な措置 

従業員から電子データの提供を受けるための方法を定めておく必要があります。具体的には次のような方法があります。 

イ 勤務先にインターネット経由のメール等で送信する
ロ USBメモリ等に保存して勤務先に提供する
ハ (社内LANなどで)勤務先と作成者である従業員のみアクセスが可能な領域に年末調整申告書データを保存する
ニ 社内LANにログインし、メール等で送信する

なお、イまたはロの場合は、提出データに電子署名を付すか、パスワードを設定する必要があります。

② 電磁的方法により提供する者の氏名を明らかにするために必要な措置 

提出された電子データが従業員本人から提出されたことが確認できるように担保しておかなければなりません。具体的には次のような方法があります。
イ 従業員が申告書情報に電子署名を行い、その電子署名に係る電子証明書を申告書情報と併せて勤務先に送信する方法。 マイナンバーカードを利用することもできます。
ロ 従業員が、勤務先から通知を受けたIDとパスワー ドを使って、申告書情報を送信する方法。 

 

従業員が準備すること

1.控除申告書作成用ソフトウェアを取得する

控除申告書作成に使用するPC、スマートフォンに年調ソフトを導入する必要があります。

 

2.控除証明書等データを取得する準備をする

従業員は次のいずれかの方法で控除証明書等のデータを取得します。

①保険会社のホームページ等からダウンロードする方法

②マイナポータル連携を利用して一括取得する方法

なお、マイナポータル連携をするためには、次の準備が必要となります。

 イ)マイナンバーカードの取得と読み取り機器の準備
 ロ)マイナポータルの開設と民間送達サービスの連携
 ハ)保険会社等へ民間送達サービスのアカウントの登録

 

 

まとめ

毎年の年末調整手続というのは、会社(源泉徴収義務者)にとっては大きな負担です。一方、従業員(納税者)としても慣れない書類の記入で時間をかけて準備しているのではないでしょうか。今後、電子化の対象が広がり、機能も向上すれば、勤務先にも従業員にも大きなメリットが生じることでしょう。

 

 

この記事を書いた人
松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士
みんなの会計事務所代表。「税理士のノウハウを会社成長の力に」をモットーに、大阪で起業支援、中小・ベンチャー企業の支援や税務の他、個人確定申告、相続・相続対策等の税務業務を手掛ける。

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