割増賃金の割増率とは?概要と組み合わせのパターン・計算方法を解説

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従業員が労働時間を超えて働いた場合や、法定休日に働いた場合に支払う賃金のことを「割増賃金(わりましちんぎん)」といいます。いわゆる「残業」や「休日出勤」をした場合に支払う賃金のことですね。そして、割増賃金を計算する上で欠かせないのが「割増率(わりましりつ)」の知識です。

 

そこで今日は割増賃金の割増率について、概要とよくある組み合わせのパターン、計算方法などを紹介します。従業員に割増賃金を支払う予定がある人は、ぜひ参考にしてみてください。

割増賃金の計算に必要な「割増率」とは

割増率とは、割増賃金の計算に用いる割合のことです。割増賃金は、残業や早出、休日出勤などをした従業員の時給に割増率を掛けて計算します。

 

その計算式が、こちらです。

 

時給×割増率=割増賃金

 

そして、割増率には以下の3種類があります。

 

  1. 時間外労働:2割5分(25%)以上
  2. 休日労働 :3割5分(35%)以上
  3. 深夜労働 :2割5分(25%)以上

 

「法定労働時間」を超えて働くことを、時間外労働(通称:残業・早出)といいます。法定労働時間とは、法律で定められた労働時間の上限を指す言葉です。

 

※詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にどうぞ

▷『労働時間とは?経営者が知っておくべき労働時間に関する基礎知識

 

従業員が残業をした場合、先ほど紹介した計算式に時間外労働の割増率を当てはめるとこうなります。

 

時給×0.25=割増賃金

 

時給が1,000円だった場合の割増賃金は、次の通りです。

 

1,000円×0.25=250円

 

この割増賃金は、通常時に支払う時給に加算して支払います。つまり時給1,000円の従業員が1時間の残業をした場合は、残業代として1,250円を支払うということです。

 

一方、「休日労働」とは法定休日に働くことを指します。法定休日とは、法律で定められている休日のこと。これに対して、会社が独自に定めている休日を「所定休日」といいます。

 

法定休日に労働をさせた場合は、その日の労働時間に対して35%以上の割増賃金を支払わなければいけません。

 

そしてもう1つの種類が「深夜労働」です。

 

深夜労働とは、22時~5時(夜の10時~朝の5時)の時間帯に働くこと。この時間帯に労働させた従業員には、25%以上の割増賃金を支払う必要があります。

 

ただし、3つの種類が重なった場合には割増率を組み合わせて支払うことになるため、注意しなければいけません。

 

では、割増率を組み合わせて支払うパターンとは具体的にどのようなものでしょうか。ここからは、よくあるパターンとそれぞれの計算方法を紹介します。

割増賃金の割増率でよくある組み合わせのパターンと計算方法

割増率の組み合わせでよくあるパターンは、次の2つです。

よくあるパターン1.時間外労働+深夜労働

時間外労働が深夜まで及んだ場合、あるいは時間外労働をすることになった時間帯が既に深夜だった場合は、時間外労働と深夜労働の割増率を合算して上乗せします。

 

仮に従業員の時間外労働が19時~23時までの4時間だった場合を想定すると、発生する割増賃金は次の通りです。

 

  • 19時~22時の部分(3時間):時間外労働の割増賃金(25%)
  • 22時~23時の部分(1時間):時間外労働+深夜労働の割増賃金(25%+25%)

 

これを計算式にすると、こうなります。

 

[A]時間外労働の割増賃金=時給×0.25

[B]時間外労働+深夜労働の割増賃金=時給×0.5

 

時給が1,000円だった場合を想定すると、それぞれの割増賃金は次の通りです。

 

[A]1,000円×0.25=250円

[B]1,000円×0.5=500円

 

先ほどもお伝えした通り、割増賃金は通常時に支払う時給に加算して支払います。とすると、残業代として支払う金額は以下の通りです。

 

19時~22時の部分:1,000円+[A]250円=1,250円

22時~23時の部分:1,000円+[B]500円=1,500円

 

そしてこれらを労働時間と掛けて計算したものが、こちら。

 

19時~22時の部分:1,250円×3時間=3,750円

22時~23時の部分:1,500円×1時間=1,500円

 

この2つを足すと、この日の労働に対して支払う残業代を算出できます。

 

3,750円+1,500円=5,250円

 

同じ時間外労働でも割増率は時間帯によって異なるため、給与計算の際には注意が必要です。

よくあるパターン2.休日労働+深夜労働

休日労働と深夜労働が重なるパターンも、よくある例として覚えておくとよいでしょう。

 

法定休日に出勤し、かつ深夜の時間帯に働いた従業員には、休日労働と深夜労働の割増率を合算して上乗せします。

 

仮に休日労働をしたのが22時~24時の2時間だった場合、発生する割増賃金は次の通りです。

 

休日労働(35%)+深夜労働(25%)の割増賃金=時給×0.6

 

時給が1,000円だった場合を想定すると、割増賃金は次の計算式で算出できます。

 

1,000円×0.6=600円

 

これを通常時に支払う時給に加算した金額が、こちらです。

 

1,000円+600円=1,600円

 

この金額をこの日の労働時間と掛け合わせると、こうなります。

 

1,600円×2時間=3,200円

 

この金額が、この日の労働に対して支払う賃金です。

 

なお休日出勤をした日に残業した場合、残業代は休日労働に対する割増率(35%)を上限に計算します。休日労働と時間外労働の割増率を合算して60%で計算する必要はありませんので、給与計算の際は注意してくださいね。

まとめ

今日は割増賃金の割増率について、概要とよくある組み合わせのパターン、計算方法などを紹介しました。

 

今回は紹介していませんが、実は限度時間(月45時間)を超えて時間外労働をさせた場合には割増率が上がります。また、従業員に時間外労働や休日出勤をさせるには労働基準法の第36条に基づく労使協定(36協定)を事前に結ばなければいけません。

 

従業員に休日労働や時間外労働をさせるには、労働基準法の知識が不可欠です。毎日の業務と勉強を両立するのは大変だとは思いますが、法律を違反しないためにもしっかりと学んでほしいと思います。

この記事を書いた人
松本 佳之

税理士・公認会計士・行政書士
みんなの会計事務所代表。「税理士のノウハウを会社成長の力に」をモットーに、大阪で起業支援、中小・ベンチャー企業の支援や税務の他、個人確定申告、相続・相続対策等の税務業務を手掛ける。

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